心のままに〜生きづらさの克服

毒親育ちのアダルトチルドレンが自分を救ってきた日々

治りませんように

 

 

 

もう何年も前になりますが

「治りませんように

べてるの家の今」(斉藤道雄)

という本を読みました。

 

 

 

精神障害やアルコール依存などを抱える人々が

北海道浦河で営む共同住居と作業所

べてるの家」。

 

ここに自ら身を置いたジャーナリストによる

ドキュメンタリーです。

 

 

 

これを読んだ時

私はこの本に書かれていることと

逆の生き方をしていたので

ハッとしたのを覚えています。

 

私は、例えば病気だったら「治りたい」

「治そう」「治さなければ」と思っていたし

成果、成功を目指していました。

 

 

 

 

 

けれど、この本では

「治りませんように」なのです。

 

それは

「そのままでいい。病気のままでいい。

治ることにしがみつかなくていい。

問題を起こして失敗しても、それで順調。

病気のままの自分が自分なんだ。」

 

という、あるがままの自分を

とことん受け入れる在り方でした。

 

それまで人から否定されてきて

自分でも自分を否定し続けてきたけれど

「このままの自分で

ここで生きていていいのだ」という

自分との和解です。

 

べてるの家では、患者それぞれ

そのままでいることが許されているのです。

 

 

 

 

 

なので、ここの方々を診ているドクターは

患者を治そうとしないそうです。

 

選択も決断も患者主体。

医者は患者を応援し、一緒に悩む存在です。

 

患者自身が自分でしっかり悩んで

考えて、自分で自分のことを語っていきます。

すると、患者は自分の思いを自分の言葉で

伝える力が育つそうです。

 

 

 

 

 

 

本の中で、「昇っていく人生」と

「降りていく人生」という生き方について

書かれています。

 

「昇っていく人生」とは

この本を読んだ時の私と同じ

成果や成功を追い求めて

どんどん拡大していく生き方。

 

一方「降りていく人生」とは

弱くて、失敗ばかりしているけれど

それでいいのだという生き方。

 

現代の日本人は「昇っていく人生」の人が多く

それが良いこと、正解のように思っている人が

ほとんどではないかと思います。

 

私もそうであったし

そうしなければならないと思っていました。

 

けれど、「昇っていく人生」はキリがなく

心はいつまでたっても平穏になりません。

 

だから、心の平穏を得たければ

「降りていく人生」の方がいいのです。

こちらの方が断然楽なのです。

 

今のそのままの自分を

受け入れているからです。

 

 

 

 

 

 

また「なつひさお」

という言葉にも出会いました。

 

患者さんの病状が悪くなる時というのが

あるそうで、それが「なつひさお」。

 

な→悩んでいる

つ→疲れている

ひ→ヒマ

さ→寂しい

お→お金がない、お腹すいた

 

こんな時に、人は病状が悪化するそうです。

 

だから、病状が悪くなる時は

人と食卓を囲むのがいいのです。

 

病が良好か、そうじゃないかは

人間仲間との接触の違いの結果だそうです。

具体的には、人に話す、人に聴いてもらう

仲間との触れ合い、など。

 

人と繋がる生き方を身に付けた人は

再発はしないそうです。

 

やっぱり人間にとって孤独は良くなくて

人と会話して、触れ合って

一緒にごはん食べたりするのが

幸せに繋がるのですね。

 

 

 

 

 

 

今になって振り返ってみると

この本に書かれていることを

今現在、私は大切にしているなと思います。

 

読んだ時にはピンとこなくて

100%理解することはできなかったけれど

今では、それを実践する自分がいます。

 

 

 

それは、どんなに不甲斐ないと思う自分でも

そのまんまの自分を丸ごと受け入れることや

 

自分を改善しようとしない

より良くなろうと目指さないことや

 

「こうすべき」「これが普通」という

人の価値観を生きるのではなく

自分自身の感覚を大切にして

自分の価値観をゆったり生きることなどです。

 

 

 

こういうことを大切に生きる時

人は、その時、病であろうと

どんな状況であろうと

心穏やかに過ごせるのだと思います。

 

 

 

生き方を見つめ直せる一冊です。

 

 

 

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